結論からお伝えすると、「ご承知おきの程よろしくお願い致します」は、ビジネスシーンで使っても問題のない正しい敬語表現です。
ただし、少し硬めの言い回しなので、相手や場面によっては「事務的」「冷たい」と感じられることもあります。
そのため、この表現を安心して使うには、意味をきちんと理解し、場面に合った使い方や言い換えを知っておくことが大切です。
この記事では、敬語にあまり自信がない方や、ビジネスメールに慣れていない方でも分かるように、むずかしい言葉は使わず、やさしく順番に解説していきます。
「ご承知おきの程よろしくお願い致します」は正しい敬語？｜意味と使っても失礼にならない理由
意味を分解してわかりやすく確認しよう
「ご承知おきの程よろしくお願い致します」は、いくつかの言葉が組み合わさった表現です。
ひとつずつ見ていくと、意味がつかみやすくなります。
- ご承知おき：あらかじめ知っておいてほしい、理解しておいてほしい
- の程：表現をやわらかく整える言い回し
- よろしくお願い致します：丁寧なお願いの言葉
つまり全体としては、
「事前に知っておいてもらえると助かります」という気持ちを、丁寧に伝える敬語表現です。
相手に何かを強く求めるというよりも、注意点や連絡事項を穏やかに共有するときによく使われます。
「お願い致します」は二重敬語になる？
この表現について、「二重敬語では？」と不安に思う方も多いかもしれません。
結論から言うと、一般的なビジネスシーンでは問題なく使われている表現なので、過度に心配しなくても大丈夫です。
「致します」は「します」を丁寧にした言い方で、ビジネスメールではよく使われています。
文章全体として不自然になることはなく、失礼にあたる表現でもありません。
「きちんとした印象を持ってもらいたい」「丁寧に伝えたい」という場面では、安心して使える言い回しです。
失礼に聞こえることはある？誤解されやすいポイント
相手によっては硬く感じられる理由
「ご承知おきの程よろしくお願い致します」は、丁寧ではあるものの、やや事務的な印象を持たれやすい表現です。
特に、
- 短い文章だけで使った場合
- 前後に気づかいの言葉がない場合
このようなときは、相手によっては「少し冷たい」「一方的」と感じられることもあります。
表現自体が失礼なわけではありませんが、文章全体のやわらかさが大切になります。
印象をやわらげるために意識したい前後の一言
硬さが気になるときは、クッション言葉を添えるのがおすすめです。
たとえば、
- 「恐れ入りますが」
- 「お手数ですが」
- 「念のためのご連絡ですが」
こうした一言を前に入れるだけで、文章全体がぐっとやさしい印象になります。
「丁寧さ＋気づかい」を意識すると、安心して使える表現になりますよ。
「ご承知おきの程よろしくお願い致します」が向いている使用シーン
ビジネスメールで使いやすい場面
この表現は、次のような場面で特に使いやすいです。
- ルールや注意事項を伝えるとき
- 日程や仕様の変更を知らせるとき
- 念のため事前に共有しておきたい内容があるとき
相手に「行動を強く求める」というよりも、情報として知っておいてほしい内容に向いています。
すぐに返事や対応を求めるというより、
「念のため共有しておきたい」
「事前に把握しておいてもらえると助かる」
といった、やさしいニュアンスを含んだ場面で使うと、相手にも受け取ってもらいやすくなります。
使いすぎを避けたい理由
便利な表現ではありますが、何度も繰り返し使うと、文章が少し堅くなりがちです。
とくに、毎回同じ言い回しで締めくくっていると、相手にとっては形式的に感じられてしまうこともあります。
同じメール内で何度も使ったり、どの連絡でも同じ表現を選んでしまったりすると、内容そのものよりも「事務的な印象」が先に伝わってしまう場合があります。
その結果、本来伝えたかった配慮や気づかいが、少し伝わりにくくなってしまうことも考えられます。
状況や相手との関係性に応じて、言い換え表現を取り入れながら上手に使い分けることで、文章全体がやわらかくなり、より読みやすいメールになります。
この表現を使わないほうがよい場合もある
感謝やお詫びがメインのメールの場合
お礼やお詫びを伝えるメールでは、「ご承知おきの程よろしくお願い致します」は少し合わないことがあります。
このような場合は、
- 感謝の気持ちが伝わる表現
- 相手を気づかう言い回し
を中心にしたほうが、やさしい印象になります。
感謝やお詫びを伝えたい場面では、まずその気持ちがしっかり伝わることが大切なので、指示や注意を連想させる表現は控えめにしたほうが安心です。
初めて連絡する相手への注意点
初めてやり取りする相手に対してこの表現を使うと、文章が少し改まって見え、やや距離を感じさせてしまうこともあります。
特に、関係性がまだできていない段階では、相手が「少し堅い人なのかな」と受け取る可能性もあります。
その場合は、
「ご確認いただけますと幸いです」
のように、お願いの気持ちがやさしく伝わる表現を選ぶと安心です。
文章全体も自然になり、相手に配慮している印象を持ってもらいやすくなります。
似た敬語表現との違いをやさしく比較
「ご理解のほどよろしくお願い致します」との違い
- ご承知おき：事前に知っておいてほしい
- ご理解：内容を理解・納得してほしい
内容を知ってもらうだけなら「ご承知おき」、説明や判断が必要な場合は「ご理解」の方が自然です。
どちらも丁寧な表現ですが、相手に求める内容の深さによって使い分けることで、より伝わりやすい文章になります。
「ご了承ください」との使い分け
「ご了承ください」は、相手に受け入れてもらうことを前提とした表現のため、少し強めに感じられることがあります。
特に、理由や背景の説明が少ない場合は、冷たく受け取られてしまうこともあります。
やさしく伝えたい場合は、
「ご理解いただけますと幸いです」
のように、相手の気持ちを尊重する表現を選ぶと安心です。
お願いのニュアンスが加わることで、文章全体がやわらかくなり、丁寧で配慮のある印象につながります。
状況に応じて使える言い換え表現まとめ
やわらかく伝えたいときの言い換え
- ご確認いただけますと幸いです
- あらかじめご確認ください
- 念のためご共有いたします
これらは、相手に負担をかけすぎず、自然に内容を伝えたいときに使いやすい表現です。
特に社内メールや、日常的にやり取りしている相手との連絡では、丁寧さと親しみやすさのバランスが取りやすくなります。
文章全体もやわらかくまとまり、読み手に安心感を与えやすいのが特徴です。
社内メールや日常的なやり取りに向いています。
より丁寧さを求められる場面での言い換え
- 何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます
- ご理解いただけましたら幸いです
これらの表現は、相手への敬意をしっかり示したい場面で役立ちます。
文章がやや改まった印象になるため、公式な連絡や重要な内容を伝えるときに向いています。
落ち着いた言い回しなので、丁寧さを大切にしたい場面でも安心して使えます。
社外や取引先向けの、落ち着いた印象の表現です。
丁寧すぎず自然に伝えたい場合
- ご確認のほどお願いいたします
- ご承知いただけますと助かります
これらは、かしこまりすぎず、それでいて失礼にならない表現です。
少し距離のある相手や、社内外どちらにも使えるため、迷ったときの選択肢として覚えておくと便利です。
ほどよい距離感を保ちたいときに使いやすい表現です。
そのまま使えるビジネスメール文例
上司・社内向けメール例
明日の会議ですが、開始時間が10分早まります。
念のためご連絡いたしましたので、
ご承知おきの程よろしくお願い致します。
来週より社内システムのメンテナンスを予定しております。
一時的に利用できない時間帯がございますので、
ご承知おきの程よろしくお願い致します。
社外・取引先向けメール例
誠に恐れ入りますが、資料の一部に修正がございます。
詳細は添付をご確認いただき、
ご承知おきの程よろしくお願い致します。
誠に勝手ながら、年末年始は通常と営業時間が異なります。
詳細につきましては下記をご確認いただき、
ご承知おきの程よろしくお願い致します。
よくある質問（Q&A）
目上の人に使っても問題ない？
丁寧な表現なので、目上の方にも使用できます。クッション言葉を添えると、より安心です。
口頭でも使える表現？
書き言葉として使われることが多いため、口頭では少し硬く感じられることがあります。
もっとやさしく伝えたいときは？
「ご確認いただけますと幸いです」などの言い換えがおすすめです。
【まとめ】敬語は相手と場面に合わせて選ぼう
- 「ご承知おきの程よろしくお願い致します」は正しい敬語
- 硬く感じられることもあるため使い方が大切
- 言い換えを知っておくと安心
迷ったときは「伝わりやすさ」を大切に
敬語は完璧でなくても、相手を思いやる気持ちが伝わることが何より大切です。
多少言い回しに迷ったとしても、
「相手に分かりやすく伝えたい」
「失礼のないように配慮したい」
という姿勢が感じられれば、その思いはきちんと伝わります。
少しずつ表現の引き出しを増やしながら、自分なりに使いやすい言葉を見つけていくことで、ビジネスメールへの不安も自然と減っていきます。
無理に完璧を目指さず、安心して、落ち着いてメールを書いていきましょう。
