「肌色」という言葉について、みんなで一緒に考えてみましょう。
「肌色」って聞いたことがありますか?
最近では、この言葉を使わないようになってきているんです。
どうしてなのかな?その理由と、新しい言い方について、くわしく説明していきます。
「はだ色」の代替表現が始まった時期とその歴史
昔々、日本では「はだ色」という言葉がとてもよく使われていました。
クレヨンや色鉛筆の箱の中に、薄いオレンジ色のものがあって、それを「はだ色」と呼んでいたんです。
でも、よく考えてみると、人間の肌の色はみんな違います。
世界中には、本当にたくさんの肌の色の人がいるんです。
例えば…
- アフリカの人々:濃い茶色や黒に近い肌の色
- ヨーロッパの人々:白っぽい肌の色
- アジアの人々:黄色っぽい肌の色
- 南アメリカの人々:赤みがかった茶色の肌の色
これらは大まかな例で、実際にはもっともっとたくさんの色があります。
同じ国の人でも、肌の色は様々なんです。
だから、ひとつの色だけを「はだ色」と呼ぶのは、おかしいと思う人が増えてきました。
みんなの肌の色が違うのに、ひとつの色だけを「はだ色」と呼ぶのは、公平ではないからです。
日本で「はだ色」が別の言葉に置き換えられた経緯
日本で「はだ色」という言葉を使わないようになったのは、そんなに昔のことではありません。
2000年ごろから、少しずつ変わり始めました。
2000年に、文部科学省という、学校のことを決める役所が、「はだ色」という言葉を使わないように、と言いました。
そして、学校の先生たちに、「はだ色」の代わりに「うすだいだい」という言葉を使うように伝えました。
この変更には、とても大切な理由がありました。
それは、子どもたちに「人々の違いを尊重する心」を育ててほしいからです。
肌の色が違っても、みんな同じ人間で、平等だということを教えたかったんですね。
それから、クレヨンや色鉛筆を作っている会社も、少しずつ「はだ色」という名前を変えていきました。
例えば…
- サクラクレパス:2001年に「はだいろ」を「うすだいだい」に変更
- トンボ鉛筆:2020年に「はだいろ」を「ペールオレンジ」に変更
今では、ほとんどの会社が「はだ色」という言葉を使っていません。
「肌色」は実際の人間の肌色を正確に再現していない
さて、ここで少し不思議なことに気づきませんか?
私たちが「はだ色」と呼んでいた色は、本当の人間の肌の色とは少し違うのです。
実際の人間の肌は、とてもたくさんの色が混ざっています。
例えば…
- 赤:血液の色
- 黄色:脂肪の色
- 茶色:メラニン色素の色
- 青や緑:血管の色
これらの色が、複雑に混ざり合って、私たちの肌の色になっているんです。
でも、クレヨンやえんぴつの「はだ色」は、そんなに複雑ではありません。
これは、私たちの目と脳が、色をシンプルに見るからです。
複雑な色も、脳の中では単純な色として記憶されるんです。
人間の脳は実際の色よりも鮮やかに色を記憶する
人間の脳には、おもしろい特徴があります。
私たちが見た色を記憶するとき、その色を実際よりも鮮やかに覚えてしまうのです。
例えば、本当のりんごの色は、少し地味な赤かもしれません。
でも、私たちの脳の中では、それがもっと明るい赤として記憶されます。
これを「色の恒常性」と言います。
同じように、本当の肌の色はちょっと地味な色かもしれません。
でも、脳の中では、それがもっとはっきりした色として記憶されます。
だから、「はだ色」のクレヨンも、実際の肌よりも少し明るい色になっているんです。
肌色の代替表現は3つ。うすだいだい、ベージュ、ペールオレンジ。その理由を解説!
では、「はだ色」の代わりに、どんな言葉を使えばいいのでしょうか?
今は主に3つの言葉が使われています。
「うすだいだい」「ベージュ」「ペールオレンジ」です。
これらの言葉が選ばれた理由は、特定の人の肌の色を指さないからです。
みんなの肌の色が違うことを認めながら、その色を表現できる言葉だからです。
肌色の代替表現の3つとそれぞれの色の意味を紹介
それでは、新しい3つの言葉について、くわしく見ていきましょう。
うすだいだい
「うすだいだい」は、文部科学省が最初に提案した言葉です。
だいだい色を薄くした感じの色を表しています。
オレンジ色に近いけど、もっと明るくて薄い色です。
例えば、夕焼け空の明るい部分や、柿の薄い色を思い浮かべてみてください。
そんな感じの色です。
ペールオレンジ
「ペールオレンジ」は、英語の「pale(ペール)」と「orange(オレンジ)」を組み合わせた言葉です。
「pale」は「薄い」という意味です。
だから、「薄いオレンジ色」という意味になります。
薄いみかんの色や、アプリコットの果肉の色を想像してみてください。
そんな優しい色合いです。
ベージュ
「ベージュ」は、フランス語から来た言葉です。
薄い茶色やクリーム色に近い色を表します。
自然な感じの明るい色で、服や家具でもよく使われる色の名前です。
砂浜の砂の色や、薄いコーヒーに牛乳をたくさん入れた色を思い浮かべてみてください。
そんな落ち着いた色合いです。
日本で言う「肌色」は英語でどのように表現されている?
日本語の「はだ色」は、英語でどう言うのか知っていますか?
実は、英語には「はだ色」にぴったり合う言葉がありません。
英語では、この色を表すのに「peach(ピーチ)」という言葉をよく使います。
ピーチは桃のことで、桃の色に似ているからですね。
他にも「flesh(フレッシュ)」という言葉を使うこともありますが、これは「肉」という意味で、あまり好まれません。
最近では、「light orange(ライトオレンジ)」や「pale orange(ペールオレンジ)」という言葉も使われています。
これらは日本語の「うすだいだい」や「ペールオレンジ」とよく似ていますね。
英語圏の国々でも、一つの色を「肌色」と呼ぶことには気をつけています。
なぜなら、世界中にはいろいろな肌の色の人がいるからです。
教育現場での「肌色」の扱いはどうなっている?
学校では、「はだ色」という言葉をどう扱っているのでしょうか?
先生たちは、「はだ色」という言葉を使わないように気をつけています。
代わりに「うすだいだい」や「ペールオレンジ」という言葉を使っています。
また、絵を描くときには、自分の肌の色をよく観察して、本当の色を表現するように教えています。
例えば…
- 鏡を見て、自分の肌の色をよく観察する
- 肌の色には、赤や黄色、茶色などいろいろな色が混ざっていることに気づく
- いろいろな色を混ぜて、自分の肌の色に近い色を作る
このような活動を通して、みんなの肌の色が違うことを理解し、お互いの違いを尊重することの大切さも教えています。
学校の先生たちは、子どもたちに「多様性」という言葉の意味を教えています。
多様性とは、みんながそれぞれ違っていて、その違いを認め合うことの大切さを表す言葉です。
肌の色の違いも、この多様性の一つなんです。
また、学校では「国際理解教育」という授業も行われています。
この授業では、世界のいろいろな国の文化や習慣を学びます。
その中で、世界には様々な肌の色の人がいることも学びます。
「肌の色」の表現はますます重要に
世界には、いろいろな国の人がいます。
日本にも、外国から来た人がたくさん住んでいます。
だから、「肌の色」についての考え方はとても大切になってきています。
例えば、アメリカでは、肌の色による差別をなくすための運動が長い間続いています。
日本でも、外国から来た人々と一緒に暮らす機会が増えています。
一人ひとりの肌の色が違うことを理解し、それぞれの色を大切にすることが重要です。
「はだ色」という言葉を変えたのも、みんなの違いを尊重するためなんです。
最近では、テレビや雑誌、インターネットなどでも、いろいろな肌の色の人が登場するようになってきました。
これは、社会が多様性を認め、尊重するようになってきた証拠です。
また、化粧品会社も、様々な肌の色に合わせた商品を作るようになってきました。
昔は「肌色」と言えば一色しかありませんでしたが、今では何十種類もの色があります。
これも、肌の色の多様性を認める社会の変化を表しています。
まとめ
今日は「はだ色」という言葉について、たくさんのことを学びました。
大切なポイントをもう一度確認しましょう。
- 「はだ色」という言葉は、2000年ごろから使わなくなってきました。
- 新しい言葉として「うすだいだい」「ペールオレンジ」「ベージュ」が使われています。
- 実際の人間の肌の色は、とても複雑で、一つの色では表せません。
- 英語では「peach」や「light orange」という言葉が使われています。
- 学校では、みんなの肌の色の違いを尊重することを教えています。
- 社会全体が、肌の色の多様性を認め、尊重するようになってきています。
「はだ色」という言葉が変わったのは、みんなの違いを大切にするためです。
一人ひとりの肌の色が違うことを理解し、お互いを尊重することが大切です。
これからも、みんなで仲良く、お互いの違いを認め合っていきましょう。
色には不思議がいっぱい!これからも、色のことをもっと勉強して、世界の多様性を楽しみましょう。
色鉛筆やクレヨンを使って、自分だけの「はだ色」を作ってみるのも面白いかもしれませんね。
例えば、こんな実験をしてみるのはどうでしょうか。
- 白い紙に、自分の腕や手の輪郭を描く
- 鏡を見ながら、自分の肌の色をよく観察する
- いろいろな色のクレヨンや色鉛筆を使って、自分の肌の色に近い色を作る
- 友達とも色を比べてみる
このような活動を通して、肌の色の多様性を楽しく学ぶことができます。
また、世界の様々な人々の写真を見て、どんな肌の色があるか観察してみるのも良いでしょう。
人々の顔や肌の色が違っても、みんな同じ人間であり、平等であることを理解できるはずです。
色について考えることは、世界の多様性を理解することにつながります。
みんなで楽しく、色について考えていけたらいいですね。
そして、一人ひとりの違いを認め合い、尊重し合える世の中を作っていきましょう!
最後に、覚えておいてほしいことがあります。
肌の色は、その人の価値を決めるものではありません。
大切なのは、その人の心や行動です。
肌の色の違いを学ぶことは、私たちの世界がどれだけ多様で美しいかを知る良い機会になります。
それぞれの肌の色には、その人の祖先の歴史や、その人が育った環境が反映されています。
つまり、肌の色は、その人のアイデンティティの一部なのです。
これからの社会では、肌の色だけでなく、様々な違いを認め合い、尊重し合うことがますます重要になってきます。
例えば…
- 言語の違い
- 宗教の違い
- 文化の違い
- 性別の違い
- 年齢の違い
これらの違いを「個性」として捉え、お互いに学び合うことで、より豊かな社会を作ることができるでしょう。
また、「はだ色」という言葉の変化は、私たちの社会が成長している証でもあります。
言葉は時代とともに変わっていきます。
そして、その変化には必ず理由があります。
「はだ色」という言葉が変わったのは、より多くの人々を大切にしたいという思いからなのです。
これからも、新しい言葉や考え方が生まれてくるかもしれません。
そんなとき、なぜその言葉が生まれたのか、どんな思いが込められているのか、考えてみることが大切です。
最後に、みなさんへの課題です。
夏休みの自由研究にしてもいいかもですね。
- 自分の周りにいる人々の肌の色をよく観察してみましょう。
同じように見える肌でも、よく見ると少しずつ違うことに気づくはずです。 - 世界地図を見て、どの地域にどんな肌の色の人が多いか調べてみましょう。
そして、なぜその地域でその肌の色になったのか、考えてみましょう。 - 自分の好きな色で、理想の「はだ色」クレヨンを作ってみましょう。
そして、なぜその色を選んだのか、友達や家族に説明してみましょう。 - 学校や地域で、「多様性」をテーマにしたイベントを提案してみましょう。
例えば、世界の様々な文化を紹介する展示会や、いろいろな国の料理を楽しむ食事会などです。
これらの活動を通して、肌の色だけでなく、世界の多様性について深く学ぶことができるでしょう。
そして、その学びは必ず、みなさんの人生を豊かにしてくれるはずです。
「はだ色」という一つの言葉から、こんなにもたくさんのことを学べるなんて、驚きですね。
これからも、身の回りの言葉や習慣について、「なぜ?」と疑問を持ち、考え続けてください。
そうすることで、もっと素晴らしい世界を作り出すことができるでしょう。
さあ、今日からあなたも、「はだ色」探検家の一員です。
家族や友達と一緒に、肌の色の不思議と美しさを探検してみましょう。
きっと、新しい発見がたくさんあるはずです!